読書メモ:科学的な適職(2)
2. 仕事の幸福度を上げる7つの要素
誰でも視野狭窄になる
- 「この仕事が良さそうだ」と思った瞬間から視野が狭まる
- それ以外の選択肢を冷静に比較できなくなる
- 人は自分の視野の限界を「世界の限界」だと思い込む
仕事の幸福度を上げる要素
仕事で幸せを感じるための要素は7つ
- 259のメタ分析などによる
- これらの要素を満たさない仕事は幸福度は上がらない
- これらの要素を満たす仕事は、社会的に評価が低くても幸福度が高い
- 自分の進みたい道がある場合、それが本当に幸せに続くのかチェックできる
仕事の幸福度を決める7つの徳目
- 自由
- 達成
- 焦点
- 明確
- 多様
- 仲間
- 貢献
【徳目1】自由
帰宅後の庭仕事で仕事から「自由」になれる
- 嫌な人も管理してくる上司もいない
- 最初から最後まで自分でやることをコントロールできる
- その責任はすべて自分が引き受け、他人は関係ない
- 自分が自分の上司になれる
- 作業内容を自分で決められる
仕事の幸せを最も左右するのが「自由」
- 自由度が高いほど、仕事の満足度は上がり、離職率が下がる(台湾の研究)
- あったらいいなレベルではなく、仕事の幸福度を上げる根本的な要素
健康にも影響する
- タバコより体に悪い
- 慢性病にかかりやすくなる
自由度を高めるには
- 少しでも自由度が高い会社を選ぶ
- 上司や関係者と交渉して仕事の自由度を高める
自由の例
- 仕事時間
- 仕事のペース
- 仕事内容
- 仕事場所
- 仕事のタイミング
- 仕事の進め方(順番)
男女差
- 女性は「仕事場所」「仕事のタイミング」の自由が効くほど幸福度が上がる
- 男性は「仕事の進め方」「仕事のペース」の自由が効くほど幸福度が上がる
- 女性は在宅勤務やフレックスタイム
【徳目2】達成
物事が前に進んでいることを感じられること
- 人のモチベーションが最も高まるのは、少しでも仕事が前に進んでいることを感じられたとき
- 小さくても達成感が得られればいい
- 錯覚でも有効
達成の例
- 書類作成に必要なデータが見つかった
- バグが解消された
- 仕事が褒められた
仕事選びにおけるチェックポイント
- 仕事のフィードバックは即座に得られるか
- 仕事の成果とフィードバックが切り離されていないか
【徳目3】焦点
適職探しに唯一有効な性格テスト
- 「制御焦点」
- 攻撃型か防御型か
- 自分の焦点タイプに合った働き方をすると能力を発揮しやすく、仕事の満足度も上がる
- 先天的なもの
2つのタイプ
1. 攻撃型
・どうしたら自分の目標や希望をかなえられるか、よく想像する ・将来自分が成し遂げたい目標が叶った状況をよく想像する ・進歩や成長を実感しやすい仕事向き ・コンサルタント、アーティスト、テクノロジー系、ソーシャルメディア系、コピーライターなど
2. 防御型
・どうしたら失敗を防げるか、よく考える ・将来自分に起こる悪い状況をよく想像する ・安心感と安定感を実感しやすい仕事向き ・事務員、技術者経理係、データアナリスト、弁護士など
【徳目4】明確
賃金が不公平な会社は死亡率や精神病の発症率が高い
タスクの不明確さは慢性疲労、頭痛、消化器系疾患と相関がある(南フロリダ大学)
- 仕事で何を求められているかが不明
- 上からの指示が一貫しない
- 複数の上司に違うことを言われる
- 作業手順が不明
- 期限が不明
- 会社の価値観が不明
- 会社のビジョンが不明
- いまの作業がプロジェクトのどの位置にあるか不明
- どこに責任を持てばいいのか不明
- 会社での自分の役割が不明
チェックポイント
- 会社に明確なビジョンがあるか
- そのビジョンを実現するために、どんなシステム化をしているか
- 人事評価はどのようにされているか
- 個人の貢献と失敗を目に見える形で判断できる仕組みは整っているか
【徳目5】多様
特定の業務だけ、は幸福度を下げる
- 人間は慣れる生き物
- 慣れてしまうと退屈になる
- 「快楽のウォーキングマシン」
対策は「多様」
- 日常の仕事で変化を感じられること
- 自由のもたらす満足度に近い
チェックポイント
- プロジェクトの川上から川下まで関与できるか
- 企画から設計、製造、販売まで
【徳目6】仲間
- 職場に3人以上の友達がいる人は満足度が96%高い
- 給料への満足度は2倍
- 職場に最高の友人がいる人は仕事のモチベーションが7倍
- 仕事のスピードも上がる
- 人間関係が悪い職場では健康度が大きく下がる
チェックポイント
- その会社には自分に似たひとがどれぐらいいるか(類似性効果)
- 考え方や性格などの内面や、服装などの外面、出身地、生育環境、文化的な背景など
- その会社には自分が普段よく話す友達に似たひとがどれぐらいいるか
- その会社の人と友達になれそうか
- その会社の人と仲良くやっていけそうか
- その会社の人を好きになれそうか
【徳目7】貢献
満足度が高い職種トップ5(アメリカの調査)(シカゴ大学)
- 聖職者
- 理学療法士
- 消防員
- 教育関係者
- 画家・彫刻家
満足度が高い職種の共通点(トム・W・スミス)
- 他人を気遣う
- 他人に教える
- 他人を人生を守る
満足度が低い職種
- 倉庫ピッキング
- レジ打ち
- 工場での単純作業
満足度が低い仕事は他人への貢献を実感しにくい
- 「タスク重要性」が低い
- 「その仕事がどれぐらい他人の生活に影響を与えられるか」
「ヘルパーズハイ」を感じられる職種は幸福度が高い
- ボランティアをする人ほどうつ病の発症率が低い
- 他人への小さな親切を1日5回ずつ6週間続けると幸福度が大きく上がる
- 人に親切にすると幸福度が上がる
他人に親切にすると3つの欲求が満たされる
- 自尊心:自分は役に立てているという感覚
- 親密感:孤独感の解消
- 自律性:自分の判断で行動したという実感
他人の役立つことをするとドーパミンが分泌される
- やる気ホルモン
- 違法ドラッグの効果と同じ
- 実際には役に立っていなくても、役に立てている実感が感じられればいい
- エンドユーザーと直接接する仕事が有利
視野を広げる作業(4ステップ)
1. イニシャルリストを作る
- 仕事を今後どうしていきたいのか、選択肢を片っ端から書き出す
- 将来の仕事をどのように変えていきたいのか
何でもいいので思いつくまま
例
- とにかく辞める
- 営業に転職
- A社の販売に転職
- 今のクライアント向けに独立する
- 辞めずに副業する
2. 徳目アテンション
手順
- 7つの徳目から気になるものを1つ選ぶ
- その部分の解説を読み直し、どのようなものだったか復習する
- 転職サイトであえて検索せずに、片っ端からながめてみる
- 気になったものをイニシャルリストに追記する
目的
- 「この徳目について考えよう」と脳にフックを与える
- その状態で何かを見ると、自然とそこに注意が行くようになる
- 「選択的集中」
応用
- 「今日は自由について考えよう」と決めて街を歩く
まだ方向性もわからないとき
- 「職種一覧」のようなページを見て考える
- 「営業の方が自分の『攻撃型』を活かせるかな」
- 「販売もありだな」
- 「残業時間の少なさで考えるのもいいな」
- 少しでも気になったらリストに追記する
3. 徳目クエスチョン
- 各徳目について、自分にクエスチョンしてみる
- 思いついたものは何でもイニシャルリストに追記する
- 全てが叶わなくてもいい
- 視野を広げるのが最大の目的
手順
- 自由:仕事をする時間、場所、ペースを自分で決められそうな仕事や職種は他にないか?
- 達成:仕事のフィードバックをハッキリ確認できそうな仕事や職種は他にないか?
- 焦点:自分のタイプを行かせる仕事や職種は他にないか?
- 明確:タスクの内容と評価システムがもっとはっきりした仕事や職種は?
- 多様:プロジェクトの川上から川下まで全工程に関われそうな仕事や職種は?
- 仲間:自分に似た人や仲良くなれそうな人が多そうな仕事や職種は?
- 貢献:他人への貢献がより目に見えやすい、またはより多くの人の役に立てそうな仕事や職種は?
4. 8つの質問でブロックを外す
- 今のイニシャルリストの選択肢をどれも選べないとしたら、他にどんな可能性があり得るか
- もしありあまるお金を持っていたら、イニシャルリストの選択肢を選ぶだろうか
- もし何の不安も心配事もないとしたら、他にどんな可能性があり得るか
- 今までの努力(お金や時間)がすべてムダだったとしたら、他にどんな選択肢があるか
- このイニシャルリストが友人のものだったら、どんなアドバイスが頭に浮かぶか
- イニシャルリストの選択肢を選ぶことで、人生でできなくなってしまうことはないか(友人と遊ぶ時間が減るや、特定スキルが伸ばせなくなるなど)
- 自分が尊敬する人は、イニシャルリストにどんな助言をしてくれるだろうか(死んだ人でも架空のキャラでも)
- 自分のコネクション(過去の仕事や友人など)を通じて、また別の選択肢が考えられないか
7つの徳目に当てはまらなくてもいい
- 「やっぱりお金が欲しい」「仕事は割り切って、趣味から幸せを得る」「なぜかこの会社が気になる」とか
- 仕事から得る幸福が減るとしても、視野狭窄よりはマシ
- あらゆる可能性を書き出す
- 楽しみながら視野を広げる