読書メモ:科学的な適職(1)
序章
100歳近い老人が後悔していることの第一位は「仕事」
- 「仕事ばかりの人生だった」
- 「もっと早く辞めればよかった」
仕事選びはもっとよく考えるべき
- 転職失敗の原因の7割は「視野狭窄」
転職で失敗した人達には共通点がある
- リサーチ不足
- 面接で大切なことを聞いていない
- お金に釣られる
- お金しか見えていない
- 「逃げ」の転職
- 不満により逃避を繰り返し、収入が下がる
- 自信過剰や自信不足
- 会社が悪いと決めつける
- よりよい可能性から自分を遠ざける
- リサーチ不足
職業選択の5ステップ「AWAKE」
- 幻想から覚める
- 未来を広げる
- 悪を取り除く
- 歪みに気づく
- やりがいを再構築する
1. 幻想から覚める
仕事の幸福度と無関係な7つの要素
- 好きを仕事にする
- 給料の多さで選ぶ
- 業界や職種で選ぶ
- 仕事の楽さで選ぶ
- 性格テストで選ぶ
- 直感で選ぶ
- 適性に合った仕事を求める
1-1. 好きを仕事にするのは間違い
短期的には「好き」のグループの幸福度は高い
- 1~5年のスパンでみると幸福度・年収・キャリアなどのレベルが逆転
- どの仕事にも「好きになれない側面」がある
- 人間関係や雑用、残業など
好きで選んだ人ほど落胆して辞めやすい
- 「仕事は仕事」と割り切る人ほど期待がない分、トラブルに強い
- 割り切り派は継続するため、スキルが向上する
- 好きを仕事にするほど長続きしない
- オックスフォード大学の研究
- スキルレベルと仕事の継続率が最も高かったのは「割り切り派」
仕事への情熱は自分が注いだリソースの量に比例する
- どこかにある「天職」を見つければうまくいくのではない(ロイファナ大学)
- はじめからそれに対する情熱が多いわけではない
- やればやるほど情熱の量が増え、楽しくなってくる
- 結果として「天職」と思えるようになる
- 自分の仕事を天職だと感じている人たちの共通点:
- はじめから「これ」とは決めていなかった(ジョージタウン大学)
- 仕事の種類や内容は関係なく、どんなことでも天職になり得る
- 情熱は自分の中に眠っているものではない
- 情熱は自ら生み出すもの(イェールNUS大学)
- 情熱はやっているうちに生まれ、大きくなっていく
- 心理学で「グロウス・パッション」
- こう考える人ほど長続きしやすい
1-2. 給料の多さで選ぶのは間違い
給料の多さは幸福度や仕事の満足度とほぼ関係ない
- 給料と仕事の満足度は「r=0.15」の相関係数しかない(フロリダ大学)
- rは0~1の範囲
- r=1に近いほど関係が強い
- r=0.5以上で「関係がある」
- r=0.15は「ほぼ関係がない」
- 結婚や体調改善の方がはるかに幸福度が上がる
- 年収アップよりそちらにリソースを割いた方がはるかに効率的
- 年収400~500万からの幸福度アップは費用対効果が悪い
- 「年収800万で幸福度は横ばいになる」と言われている
- 800万円はあくまで最大値付近の話で、実際にはもっと下で伸びなくなる
- 年収400~430万円を超えた場合、そこから年収が倍になっても幸福度は5%しか上がらない
- だったら400万でよさそう
- 800万円めざしてあくせく働くより、健康や家族を優先するのもあり
- 日本人の年収は350~360万円が中央値
お金を持つほど限界効用が下がる
- 増えるほどメリットは減る
- 給料アップによる幸福度アップは平均1年しか続かない
- その後は急降下し、3年でほぼ元通り
お金による幸福は相対的に決まる
- 他人との比較で幸福度は変わる
- 「ランク所得説」
1-3. 業界や職種で選ぶのは間違い
「伸びる業界」の予測は当たらない
人の興味の変化も未来予測できない
- 18~64歳のほぼ全ての人が、10年の間に自分に起こる変化を過小評価していた(ハーバード大学)
- 18歳のころ「喫茶店をやりたい」と思っても、28歳では予想以上に気が変わっている
- 28歳で「マーケティング」をやりたいと思っても、38歳では何に興味を持っているか
- 「いま興味のある職種」に就くのは全く当てにならない
- 子供のころの夢を追い続けているのは少数派
- 周りの状況も、自分の心境も、いまは想像できないぐらい変化する
- 「歴史の終わり幻想」:
- 人は現在の価値観を最も優れていると思いこむ
- 過去に起きたレベルの変化が未来にも起きる可能性を認められない
1-4. 仕事の楽さで選ぶのは間違い
楽な仕事は死亡率を2倍に高める
- 仕事のストレスが大きい人は脳卒中や心筋梗塞のリスクが高い
- 楽すぎる仕事も幸福度を大きく下げる
- 組織内での地位が高い人ほど健康で幸福度が高い
- 裁量が増え、難しい仕事の期限を延ばしたり、負荷の量を調整したり、仕事内容を選んだり、嫌な人を避けたりしやすい
- 地位が低いほどこれらが調整できない
- 地位が上がることのメリットは給料より裁量の向上
適度なストレスがもたらすメリット3つ
- 仕事の満足度を高める
- 会社へのコミットメントを改善する
- 離職率を低下させる
自分のスキルよりほんの少し難しい仕事が良い
- やる気が出る
良いストレスとは
- 数分から数時間で終わる
- やる気、集中力、思考力、記憶力を高める
- 脳の可塑性を高め、認知機能を改善
- 免疫システムを改善し健康増進
- 高血圧、心臓病、脳卒中の予防
1-5. 性格テストで選ぶ
性格診断は効果がない
- エニアグラム、RIASEC、マイヤーズ・ブリッグス(MBTI)
- 有効性を示す研究結果がない
1-6. 直感で選ぶ
仕事選びに直感は使えない
- 使えるのは3つの条件を満たすチェスなど
直感より論理の方が有効
- 意思決定スタイルの違いと結果を調査(ボーリング・グリーン州大学)
- 論理的に意思決定する人の方が人生の満足度が高く、日常のストレスも低い
1-7. 適性に合った仕事を求めるのも間違い
インターンも前職の経験も無意味
- 実際の仕事では社風や人間関係など、変数が多すぎる
「強み」も弱い
- ストレングスファインダーもギャラップ社独自の調査
- 正式な査読の手続きを取っていない
- 強みと仕事の満足度の相関はとても小さい
- その組織に自分と同じ強みを持った同僚が少ない場合、仕事の満足度が上がる
- 仕事が決まった後に、強みを生かすように意識しながら働くことは仕事の満足度を上げる
- 強みをもとに仕事を選ぶのは推奨しない(セリグマン)